ひきこもりばあさん街を歩く
2週間にいちどの、精神科クリニックの診察に行ってきました。
クリニックが遠方のため、家を昼前に出ても帰りは夕刻。半日以上外出するというのは、ひきばあにとっては大仕事です。
ADHDの方ならおわかりいただけるかもしれませんが、外出の準備にかかる時間ときたら、普通の人のそれとは比べものになりません。
身だしなみを整えようとしては手順を違えてもたつき、道具を見失ってうろうろ探し、持ち物が全て用意できているか突然不安になってバッグをがさごそ、とにかく落ち着かない。
そんなこんなで1時間くらいすぐに過ぎてしまいます。
出かける頃にはすでにぐったり疲れていることもざら。気分は落ち込み、意欲は削げ、外出の原因となった用事が恨めしくてなりません。
ひきばあがひきこもるようになったのは、この「外出の準備の大変さ」も大きな要因だと思っています。
診察の日は起床時からクリニックを呪う気持ちでテンションだだ下がりです。
それでもなんとか通院できているのは、お薬が切れたときの苦しみを経験しているから。
発達障害が診断されたのはわりあい最近でも、精神障害のほうでは長年クリニックに通院していて、少しずつお薬の調整をしてきました。
医師が調整に調整を重ね、また季節的なコンディション変化なども加味して処方してくれるお薬は、ひきばあのお守りとしてなくてはならないものになっているのです。
診察の話はまたのちにおくとして、今回も無事診察を終え、お薬を受け取れば、そのあとはまれなる外出のお楽しみが待っています。
それは、大きな書店で買い物をすることと、余力があれば図書館に寄ること。
本はネットでも簡単に買えますし、ほっておけば家に届く便利さですが、でもやはり書店でぶらぶらと物色する楽しみは格別です。
書店員さんの工夫が凝らされたポップ、新刊や企画のコーナーは必ずチェックしますし、体力があるときは専門書の棚を眺めるのも楽しい。
今回は雑誌と文庫本を買いました。
一方、図書館は書店とは違う楽しさがあります。
フロアいっぱいの書棚とぎっしりの本は、一生かかっても読めません。しかしそれも出版物の一部でしかないのです。
ああ、なんて、わたしはものを知らないんだろう!
そしてなにも知らないまま死んでいくんだ!
と、行くたびに茫然となってしまうのですが、それがいいんです。
自分の小ささを確認するのは、気持ちが軽くなっていいものです。
そして、この膨大な本の海のなかから、気に入ったものがあれば、無料で貸してくれるという素晴らしいシステム。天国かしら。
図書館でも体力と時間の許す限り、書棚の間をうろうろと、背表紙を読んで歩きます。
そのときピックアップしたいタイトルがあれば借りてみることもあり、また、お目当ての本が検索で見つかればそれも借りて帰ります。
今回はツイッターを始めたばかりということで、タイムラインに流れてくるタイトルのなかから気になったものをメモして行きました。
でもねえ、なかなか、皆さん手強い。
人気のある本はどれもこれも貸出し中。
これは、予約をしないとむつかしいかも。
そのなかで一冊、読んでみたかった新刊が残って(?)いました!
それがエリック・マコーマックの『雲』。
なんだか不穏な表紙。そして中身も謎めいているようです。これは楽しみ!
それともう一冊、こちらは表紙のかわいいトマス・ピアース『小型哺乳類館』を借りてきました。
さてこれで、お正月のお楽しみは準備OK。
騒がしいのが苦手なひきばあは、お正月のテレビ番組が苦手であまり見られません。
そのかわり、自室にひきこもって、これらの本を読もうと思っています。
診察日は疲れるけれど、書店と図書館に行ける日でもあって、この日ばかりは活動的になるひきばあなのでした。
……まあ、帰宅するとばたんきゅうなんですけどね。それもまあいいかと。どうせ、翌日からまたひきこもるんですから。