豪華なお見舞い品が届きました
今日は、なんと。
すごいお見舞い品が届きました。
中型の段ボール箱に、いっぱいの本。
ハードカバーばかり、まだ数えてはないのですが、30冊は下らないかと。
ずっしり重い大きな箱は代車に乗せられて、看護師さんが病室まで運んでくれました。やさしい。
送り主は、昔お世話になったかた。
入院のことも心配いただき、メールで励ましてもくださったのでした。
そんなメールのやりとりから、古い蔵書の話になり、処分するような本があればぜひ、と軽ーくおねだりしてみたら、こんなにたくさん。
正直びっくりしましたとも。
看護師さんもびっくりしてましたけれど。
それで、早速、この本を読んでいます。
ピアノもクラシック音楽も疎いひきばあなので、ちゃんと読めるかどうか最初は不安でした。
でもそんなことは問題じゃなかった。
読み始めると、その力強く知的な文章に、ぐいぐいと引き込まれていくのです。
文章家といっても過言ではない筆力。
素晴らしい本をいただきました。
これから読み進めるのがとても楽しみです。
ほかに入っているのも興味深い本ばかり。
自分ではまず買わないような本は、新しい出会いの予感でワクワクします。
「もういらない本」という添え書きでいただいた本ですが、バラエティに富んだ取り揃え。
きっと、書庫のなかから、取り合わせを考えて詰めてくださったのだと思います。
自分で持ち込んだ本もあるので、退院までに読みきれるかどうかは謎ですが、てもとに本がたっぷりあるのは贅沢な気分でいいものです。
この場を借りて感謝申し上げます。
ありがとうございました。
話題沸騰『鬼滅の刃』1〜17巻をばあさんが一気読み
いやあ、すごいですねえ。
飛ぶ鳥を落とすというか破竹というか、『鬼滅の刃』の勢いたるや追随を許さず。
週刊少年ジャンプ連載→テレビアニメ化→劇場版と、ジャンプの王道をひた走っている作品ですが、ひきばあは今日まで読んだことがありませんでした。
ひきばあ、マンガ好きなんですけどね。
なんていうか、ジャンプ連載勝ちパターンというだけで食傷気味というか。
「友情、努力、勝利」の三つとも押さえたいつものアレなんでしょ?って感じで。
なんて斜めから見てしまうのは、ひきばあがかつてチャンピオン派だったからなのかもしれません。
鴨川つばめ『マカロニほうれん荘』や、石井いさみ『750ライダー』なんかが大好きでした。
それはさておき『鬼滅の刃』。
このまま読まずに終わっちゃうのかなーとか思っていたら、ぜひ読みなさいと知人が貸してくれることに。
というわけで、急きょ1〜17巻を一気読みすることになったのでした。
とても端折ったあらすじ(のようなもの)
舞台は大正時代(考察はともかく)。
主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)はある夜、留守をした間に家族を鬼に襲われ喪う。
ただひとり、妹の禰豆子(ねずこ)だけは命をとりとめたものの、身体は鬼へと化身していた。
炭治郎は大けがをした禰豆子を治療すべく山を歩く。
そこに鬼討伐を目的とする「鬼滅隊」の冨岡義勇(とみおかぎゆう)が現れ、炭治郎を修行の道へと導く。
炭治郎は厳しい修行のすえ、鬼殺隊の最終戦別に合格、鬼殺の剣士として生きる決意をする。
立ちはだかる敵鬼を前に、炭治郎は、そして禰豆子は--。
黄金のジャンプシステム
ストーリーはあらかたの想像通り、苦難を受けた少年が闘いを通じて成長し、独自の必殺技を編み出し、敵の首魁に迫る活躍をするというもの。
これは昔からの(大げさか)ジャンプの黄金ストーリーですね。
メガヒットを放った作品の多くがこんな感じです。
なので読んでいて安心というか、まあパターンではあるなというか、少年マンガの王道の強さを見せてもらったということでしょうかねえ。
ストーリーが進行するにつれ敵は強大になり、同士との絆は深まりしかしその中で死という衝撃的な別れもあります。
こうしてまとめてしまうと、見たよ見たいつか見たよねと。
でもそれがつまらないわけではなく、「いま」の空気を折り込んで、むしろ新鮮な作品として再構築しているところが『鬼滅の刃』の魅力なんだと思います。温故知新。
つまるところ勧善懲悪は現代も万人の求めるところであり、純粋無垢でポジティブな少年に理想を重ねるというのは、まさに黄金のジャンプシステムというべきかと思います。
そういう意味でとっても保守的。
時代は保守を求めているのでしょうかね。
『鬼滅の刃』に思ったこと
保守的といえば、時折挟まれる息抜き的ギャグのセンスも、いつかどこかでのデジャヴ感。
『すごいよ!マサルさん』以来、こういうの増えたなという気がします。
序盤では『ワンピース』的展開も。
編集部がこの作品に相当力を入れて関与していることを匂わせます。
ときどきぐらつきのあった作風が花開いたのが7・8巻のいわゆる「無限列車編」ではないでしょうか。
劇場版映画にもこのエピソードが採用されたとおり、ぎゅっと引き締まった読ませるストーリーになっています。
ひきばあもこのエピソードが一番好き。
キャラクターがよく描けているのでしょう、煉獄杏寿郎(れんごくきょうしゅろう)がとても魅力的で、大好きになりました。
キャラクターといえば、もうひとりの主人公ともいうべき禰豆子の魅力も忘れられません。
鬼の血を浴びて鬼と化しながら、人間を襲わず兄とともに闘う新しいヒロインは、口に(牙に)竹筒を噛ませたありえないビジュアルであっという間にファンの心を掴みました。
禰豆子の絵を最初に見たときは驚きました。
だってこれ……バイトギャグ……いや噛み猿轡なんだからそうなんだけど、むしろ本来の使用法なのかもしれないけれど、少年誌……?
そういえばこの作品では昔なら成人向けであったような、危ういエロスのエッセンスが散りばめられています。
禰豆子のギャグしかり、蜘蛛の鬼の緊縛しかり。
炭治郎の底抜けの明るさに対比する、そこはかとない暗いエロスの匂い。
そこに大人も子どもも惹きつけられてしまうのかもしれません。
ときどき日野日出志っぽい表現があったりして、作者の好みなのかな?と思ったり。
まあ細かいことは置いておいて、人気があるのは納得できる作品でした。
ひきばあはコミックス17巻までしか読んでないのですが、これからどうなるのか期待しています。
でもって、ちょっと不安です。
ジャンプシステムでは、大ヒット作品はなかなか連載をやめさせてもらえません。
果たして、『鬼滅の刃』もダラダラと蛇足を重ねる作品になってしまうのでは、と。
ふと、『聖闘士星矢』の最後のグダグダっぷりが頭をよぎるのでした。
しかし一気17巻は疲れました。
この作品なかなかのカロリーなので、老体にはこたえるのですよ……。
そして明日は入院。
大丈夫なのかしら自分。
人の不安より自分の不安をなんとかしないとって感じの深夜12時です。
荷造りでくたくたなり
こんばんは。ひきこもりばあさんのひきばあです。
今日も外出してました。
このところ外出続きで、ぜんぜんひきこもれていません。
しずかで落ち着いた状態でないと読書が進まないひきばあなので、読みかけの本も進んでおらず、なんだか自分らしくない毎日です。
今日の外出は、入院で必要になる細かいもののお買い物。
ドラッグストアなどの量販店で済ませるものばかりですが、歩くのでくたくたです。
入院は長期になる予定なので、シャンプーにしろボディソープにしろレギュラーサイズを購入します。
洗顔料、歯磨き粉、スキンケアなどなど、安いもので済ませようとしても、まとまるとけっこうな出費。これだから入院はいやなのよ。
お買い物から帰ると荷造りです。
長期入院となると、いちばん面倒なのが衣類。
季節の変動にうろたえない衣料計画が必要になり、これが悩ましいところなんですよ。
どこでも同様ではないかと思いますが、精神科では、入院中も昼間は衣服に着替えます。
一部の人を除いて、一日中パジャマでいることはあまりありません。
入院は生活リズムを整えるという意味もあるので、なるべく平時のように過ごすのです。
そんなこともあり、持ち込む衣類の量が多くなります。
長期間毎日同じ服というのも飽きますしね。
少し変化のある服も挟みたい。
とか考えてると、一枚、また一枚、衣服が増えていってしまいます。
また、ひきばあは、手もとに愛用品がないとそれがストレスになるタイプ。
入院中だからといって、簡略化できないルーティンがいろいろとあります。
そのための雑貨や小物類も、それぞれポーチや巾着に詰めて、荷物は膨れ上がる一方で。
この時間までがんばった甲斐あって、とてもひとりでは持ち込めない量の荷物があらかたできました。
入院時には家人が手伝ってくれる予定です。
でないととても無理。
しかしくたびれました。
くたくたです。
夜だけど、あめ玉ひとつ舐めてもいいことにしましょ。
あまいものは疲れを取り去ってくれますからね。
あっ、まだだめでした。
いちばん大事な、本の荷物ができてなかった。
入院中の無聊を慰めてもらう大事な大事な本たちです。
文庫本を中心に、中くらいのキャンバストートに入るだけ持ち込みます。
でも今日はもう荷造りおしまい。
疲れちゃったもの。
明日、頭を切り替えてがんばりましょ。
積読本を消化するよい機会です。
いろいろ混ぜ混ぜして、楽しいライブラリを作りたいと思っています。
今日は診察でした。あーあーやっぱり。
こんばんは。ひきこもりばあさんのひきばあです。
今日は精神科のクリニックへ診察に行ってきました。
ほんとの予約は昨日だったのですが、調子悪くて動けなくて。
今日は土曜日ということで、家人が車を出してくれたので、なんとか行ってきた次第です。
実は主治医からは、少し前から入院を勧められていました。
まじのまじで不調続きだったので、ちょっと行ってらっしゃいということで。
そのわりにお酒買ったりしてましたが、まあそういうのも含めてリセットしましょうねってことで。
ひきばあは入院が初めてではありません。
むしろ入院慣れしてるくらいお世話になってます。
なのでショックはないのですが、入院期間が2〜3ヶ月の予定ともなると、さすがに支度がいろいろあります。
持ち込む荷物もそれなりに多くなりますし、家のほうのあれこれも片付けなくてはなりません。
なので、これから少し忙しくなります。
頭がぼんやりしていてあまり集中できない現状とはいえ、入院では読書が一番の楽しみ。
積読本の山から、病院に持ち込む本を選ばなくてはなりません。
文庫本をメインに、頑丈なキャンバストートに詰め込めるだけ詰め込んでいくつもりです。
そして、読んだ本のことをぼちぼちと書いていけたらよいなあと思っています。
しんどいといっても身体が痛いわけでなし、マイペースでやっていきますので、これからもよろしくお願いします。
おだやかなひきこもり日の最後には、愛してやまない男梅
こんばんは。ひきこもりばあさんのひきばあです。
今日も安定のひきこもり日でした。
さむかったですしねえ。もうどこにも行きたくない。
昨日の疲れもまだ残っているし、あったかいお部屋でのんびりしておりました。
BRUTUSの続きを読んだりゲームしたり、鬱で泣いてる老母をなぐさめたり。
それなりにやることはあるのです。
夕食を終え、歯みがきを済ませたところで思い出しました。
そうだった。男梅を買ってあったんだ。
ぷはー。
しょっぱうまー!
男梅(おとこうめ)とは
男梅っていうのは、もともとはノーベル製菓の「男梅キャンデー」が最初だと思われます。
それまでお菓子でもお酒でもなんでも「梅味」というと、梅酒のあの味が一般的だったのですが、この男梅は梅干しの味なんです。すっぱくてしょっぱいの。
梅干し大好きのひきばあは、これを初めて口にしたとき、そのおいしさに……舌を刺す塩分に湧く唾液の衝撃に、すっかり男梅のとりことなってしまったのでした。
あーもう、書いてても唾液分泌します。
ほんとにおいしいのですよこれが。
男梅関連商品のなかから、おすすめします
男梅の衝撃はどうやら全国的なものであったらしく、その後次々と「男梅味」というのか関連商品が生まれました。
そのなかでもひきばあがよく買うのがこれ。
男梅シートは、コンビニで見かけたらつい手に取ってしまいます。
「濃厚梅干しシート」の説明通り、のし梅みたいな小さなお菓子です。
舌にのせたら、じゅわーっと唾液があふれます。
だらだらと舌の上で溶かして食べると吉。
これもおいしいです。ストレス解消にもよし。
梅は疲労回復にも効果ありますしね。
って言っても男梅味であることに違いはないんですけども。
そしていま手もとにあるのが、よーく冷えた男梅サワー!
これが!ほんとに!うまい!
梅干しを沈めて潰した甘くないチューハイ、あの味なんですよ。
缶チューハイというと甘ったるい、そんな常識を覆した至高の逸品です。
甘いのはいや、でもビールは違う、そんなときにはこれしかない!
ちなみに男梅サワーはサッポロビール社とのコラボ商品となっています。
そして、Amazonで男梅を検索していたら、こんなものを見つけました。
おおー!
これさえあれば、男梅サワーが飲み放題ではないですか。
しかも好みで濃度が変えられる。便利!すごい!買う!
ポチ。
ちなみに2020年1月15日現在、Amazonでのおねだんは1本1,137円でした。
やすー。
今夜注文して、17日金曜日に届くようです。
金曜日は精神科の診察の日なので留守ですが、家人が受け取ってくれるでしょう。
そして帰宅の暁には、おいしい男梅サワーが飲めるというわけです。
2杯でも、3杯でも、望むままに。
あっ、診察の帰りにソーダ買うの忘れないようにしないと。
リマインダー入れておきましょう。
これは楽しみです。うひひのひ。
内科検診で病院へ 噂のBRUTUSも買いました
つ、つかれたー!
ファンヒーターの前で倒れています。
しんどい。ねむい。お風呂がめんどくさい。
ゴロゴロしながらスマホを握って、メール感覚でこの記事を書いているのです。楽ちん。
今日は3か月にいちどの検診の日で、総合病院に行ってました。
バスに酔ってフラフラになり、動悸も激しい状態で血圧測定から。
血圧って、平時に測るものではなかった?
こんな状態で、肩で息しながら測定して、果たして過去最高値をマークですよ。
それを見たお医者さまから、血圧は毎日測定して記録をつけるように命じられました。
ああめんどくさい。
やりますけど、やりますけどめんどくさい。
でも血圧以外の検査数値はだいたいOK。
「ひきこもって動かないわりには筋肉も落ちてないし、謎ですね〜」
って本人が一番不思議に思ってますよ。
検査となると病院の中をうろうろ移動しなければならず、これが意外に歩きます。
普段歩き慣れないひきばあはこの移動だけでぜーぜーはーはー。
やはり日頃から少しは運動もしないと、このままでは人間でなくなってしまうかもしれませんねえ。
まあ病院の話なんて楽しいものでもないし、それはそれとして、せっかく外出したので外食も楽しんできました。
なすとトマトとベーコンのスパゲティをいただきました。
ピリ辛でおいしかったです。
ひきばあの家は年寄り世帯で和食ばかりなので、たまに洒落たものを食べると感動があります。
できればワインが…ワインがほしかったけれど、そういうお店ではなかったのでがまん。
食事のあと、ふらりと入ったコンビニで、入手を諦めていた雑誌を見つけました。
リアル書店にもネット書店にもなくて、もう無理かと思っていたので嬉し。
BRUTUSは気合の入った特集のときは、特殊印刷とかやってしまうのですが、このたびも表紙の金特色が美しく、もうデザインさすがに素晴らしい。憎らしい。
そして問題の中身ですが、まだパラパラ流しただけなのですけど、もうね、買ってよかった!
美麗……!
イラストが美しい、写真が美しい、ページレイアウトが美しい。
隔週刊雑誌のクオリティを超越した、もんのすごい贅沢な一冊になっています。
色校たいへんだったろうなあ。
ライターさん、編集さん、デザイナーさんのレベルの高さは言うまでもなく、この号は印刷屋さんの頑張りをほめてあげたいと思います。
ほんとにどのページもきれいで、著作権的なアレのためお見せできないのが残念。
買わなかったひと、買えなかったひとにもおすそ分けしたいのはやまやまなのですが。
気になるひとは、図書館という手もありますよ!
たぶん持ち出しはできないと思いますが、刀剣乱舞ファンならずとも手にとってみて損はありません。
あ、そうだった。
そうなの、ひきばあはこれでも審神者(さにわ)だったりするのです。最近はあんまり熱心じゃないのだけど。
だけどこれ読んだら刀剣熱が再燃するかもです。期待!
病院疲れでくたくたではありますが、これからBRUTUS読もうと思います。
審神者の意味がわからないひとは、ぜひこの特集を読んでみてくださいね(不親切)。
読んだ本の感想とか:衝動のままにカードは限度額オーバー・鹿島茂『衝動買い日記』
突然ですが、あなたはお買い物、お好きですか。
ひきばあは大好きです。
ひきこもっているのに不思議かもしれませんが、いまはネットでなんでも買えますから。
むしろひきばあのお買い物の90%はネットショッピングかもしれません。
そんなひきばあは、ネットショッピングではずいぶん失敗もしてきました。
ネットだと、衝動のままにポチっとクリックするだけで、即購入できてしまうのが怖いですよねえ。
これほしい!が着火したら、もう一瞬。
あーやだやだこわいこわい。
でもやめられない。
お買い物にはなにかの魔力があるような気がします。
とはいっても、ひきばあのは中村うさぎさんのそれとはちょっと違う感じなんですよね。
そもそもブランドものとか興味ないし、宝飾品もほしくないし。
そんなひきばあが、この人のお買い物は素敵!素晴らしい!と感心したのが、鹿島茂先生。
あ、ひきばあはこのブログで、作家さんをどう呼ぶかずいぶん迷って、結局「さん」付けにすることにしたのですが、鹿島先生は別です。だって、大学の先生だし。そういう意味での先生です。
閑話休題、その鹿島先生がすなる「衝動買い」の一端を垣間見せてくれるのがこの本。
鹿島茂『衝動買い日記』(中公文庫)
鹿島先生の、エネルギッシュなお買い物の数々が綴られた、軽妙にして捧腹絶倒のエッセイ集。
先生、日常生活においても旅行先でも、欲しいと思ったら手に入れずにはいられないタイプのようです。
本書に収められたお買い物24点は、そんな先生の情熱の火柱が走り抜けた軌跡。
しちりんから稀覯本に至るまで、衝動買いとは銘打つものの、すべてに本気がみなぎっています。
お買い物は出会いです。
出会ってしまったら、その場で決断しなければ、二度と巡り合えないかもしれない究極の出会いなのです。
その出会いを逃さじとする先生のお財布はカードでぱんぱん。
大学教授にしてフランス文学の権威、多くの賞を受賞した著述家でもある先生にして、サラ金のカードまで複数枚持っていたというのはさすがに狂気じみています。
先生、旅先のパリの古書店で稀覯本に出会おうものなら、男らしく腹をくくってカードを切ります。
しかしやんぬるかな、そのカードは限度額オーバー。
ここで悪魔が耳打ちする。お財布には別のカードが入っているよ、と……。
ああおそろしい。
お買い物にとりつかれてしまうのは、ふところに悪魔を飼っているのと同義です。
この本のすごいところは、買った品物にまったく一貫性がないこと。
というより、一冊のエッセイ集に仕上げるにあたり、バランスよく楽しめるよう先生がチョイスした品々だと思うのですが
その背景に広がるお買い物の砂漠というか、通り過ぎてきた品々の厚みというか、そんなものを感じてぶるぶるしてしまいます。
購入できるものについては、各章文末にお問い合わせ先がついています。
読者の衝動買いをも促す、心憎い気遣いはさすが。