大晦日に読んだ本:佐藤愛子『孫と私のケッタイな年賀状』
ついに令和元年も大晦日となりました。
とはいっても、令和が始まってまだあんまり経ってないし、ついにっていう感慨もないのが本音ですが。
大晦日ということで、本日は自室を簡単に掃除しました。
普通の人はもう少し早めに終わらすであろう仕事ですが、ひきばあはなんでもギリギリにならないとできない人間。
年末のお掃除も、当然大晦日にやるのでした。
しかも集中力がないので、ちょっと片づけては本を読んだりゲームの更新をしたり、まあほぼ平常運転です。
そんなお掃除の合間に、ちょこっと読んだ本がこちら。
佐藤愛子 著『孫と私のケッタイな年賀状』(文春文庫)
作家の佐藤愛子さんが、20年にわたり制作してきた年賀状の記録とエッセイ、なのですが、これがなかなか「ケッタイ」なのです。
話は佐藤さんのお孫さんの桃子ちゃんがまだ幼いころ、パンダの着ぐるみを着ていたことから始まります。
その着ぐるみに関心を寄せた佐藤さんに、娘さんの響子さんは猫耳つきしっぽつきの部屋着を渡すのです。
それを身につけた佐藤さんが、着ぐるみの桃子ちゃんを抱く。それを響子さんが撮影する。
佐藤さんの仮装魂に火がつきました。
佐藤さん御年69歳。桃子ちゃん1歳。
以後、佐藤さんが88歳を迎えるまで、この不思議な年賀状用仮装写真撮影は恒例行事となるのです。
本書では、その年賀状に使用した写真がカラーで掲載されています。
もちろん、毎年分、ぜんぶ。
おかしなことをまじめにやるのがモットーの佐藤さん、どの写真も真剣です。
これはもう見てもらうしかない。
ここで文字で説明したところで、面白くなくなってしまうだけだからです。
それぞれの写真に、佐藤さんによる解説や響子さんの思い出話が付随して、なかなかに興味深い。
また、当時発表されたエッセイも再録されています。
そのあたりの編集がよくて、エキセントリックな写真をさらに魅力的なものにしています。
サクッと読めて、気持ちよく笑えて、これは年末年始にぴったりの好著。
佐藤さんの真剣なユーモア、さっぱりとした文体は老若男女にウケること間違いなし。
小刻みに読めるので、用事をしながらでも楽しめます。
そこもいいところ。
さーて、大晦日もそろそろ終わろうとしています。
あと半時間で来年、お正月です。
お正月には少し長いものを読もうと思っています。
もちろん、ひきこもって。