お正月にはめでたい本を選びました:『ぬいぐるみ殺人事件』豪華!
なんか、お正月らしい本はないかしらねえ?
と、本棚を眺めていたら、あった、ありました。
佐野邦彦 編『ぬいぐるみ殺人事件』(復刊ドットコム)
この本、まだ知らない人もいるんじゃないかと思って。
初版発行は1986年ですって。えーと、34年前!
ええっ、ほんと?
ひきばあなんてまだナウなヤングだった頃じゃないですか。
ついこの前のことみたいなのに。いやですねえ。
それはさておき、この作品は、「漫画の手帖」という知る人ぞ知るミニコミ誌に、大勢の漫画家さんと作家さんがリレー形式で連載した、漫画界のレジェンドなのです。
とにかく執筆陣が豪華なのに、ミニコミ誌からの出版ゆえ長く幻とされていた本書。
あの作品をもう一度の声高く、2014年、復刊ドットコムさんにより刊行されたものなのです。
そういう経緯を経て、いまやAmazonでも買えちゃうのがめでたい。
そして、これだけの執筆陣が一堂に会し、ひとつの作品にしてしまったのがめでたい。
第1回が新井素子さんとふくやまけいこさん、以後、とり・みきさん、吾妻ひでおさん、伊東愛子さん、中山星香さん、高橋葉介さん、かがみあきらさん、早坂未紀さん、いづぶちゆたかさん、水縞とおるさん、ゆうきまさみさん、魔夜峰央さん、沢田翔さん、粉味さん、豊島U作さん、火浦功さん、愛田真夕美さん、そして最終回はしりあがり寿さん!
往時を知る人であれば、お名前の羅列だけで息をのむはず。
いったいなにをどうしたらこのメンバーが集められるの~?
って、不思議に思いますよね。
それはぜひ本書のあとがきを。
ミニコミならではというのか、そういう時代だったのか、現代ではとても考えられない地道なやりかたでリレーは繋がったのです。
そう、時代がよかったのかもしれません。
いまみたいに、スマホでメールでツイッターなんて慌ただしいなかでは、きっとこの本は生まれなかった。
そういう、時代の空気をも閉じ込めたタイムマシンとしての一冊。
お正月をことほぐのにぴったりだと思いました。
裏表紙はしりあがり寿さん。素晴らしい大団円 をありがとう!